(政界地獄耳) 自民党不戦敗 政局に与えたシグナル - 日刊スポーツ(2021年1月18日)

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★今日から通常国会が開会する。今年は必ず衆院選があり、今国会中の4月25日に衆参の補選が行われる。15日、自民党選対委員長・山口泰明は会見で、東京地検特捜部が衆院議員を辞職した元農相・吉川貴盛収賄罪で在宅起訴したことを受け「極めて遺憾であり、国民におわび申し上げる。公党としての責任を強く痛感している」とし、吉川の地元、衆院北海道2区の補選に候補者を擁立しないことを決めた。

★補選が行われることが決まってから、札幌市北区と東区の自民党支部は、札幌市議で同党2区支部幹事長・高橋克朋を候補者に推す方針を固めていた。衆院議員・鈴木貴子が比例北海道ブロックから2区へ、選挙区替えするのではないかともいわれたが、補選までの期間が短いこともあり擁立しなかった。とはいえ、党としては戦って負けるより、不戦敗を積極的に選択したといえる。

自民党議員が言う。「積極的に補選を回避、不戦敗を選んだのは、とりもなおさず首相・菅義偉の責任論が噴出するのを抑えたかったのだろう。党政調会長下村博文の『2つ負けたら政局になる』発言は、党幹事長・二階俊博が不快感を示したため訂正したが、これが党内の本音だ。一方、参院長野選挙区補選も野党の弔い選挙だけに、簡単ではないだろう。衆院不戦敗、参院負けでも、負けは負けだ」。野党は北海道2区で野党共闘を確認。参院長野も調整を進めている。

★この自民党不戦敗は、政局にさまざまなシグナルを与えた。まず4月25日の衆院選投票日説は消えた。国会で2月から本予算審議が始まり、菅が予算委員会が立ち往生、国会が空転すれば、4月2日に解散は困難だ。次の可能性は、7月22日に任期満了を控える東京都議会議員選挙との同日選だろう。ただその時、だれが首相で解散総選挙を戦っているかは分からない。(K)※敬称略