【政界地獄耳】修正申告だけで解決の流れ「峠を越した」の楽観論も どうした東京地検 - 日刊スポーツ(2024年1月9日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202401090000075.html

★年末まで威勢の良かった東京地検特捜部はどうなったのか。報道を見れば仕事納め後や休日も返上して捜査を続けていたようにも見えるが、一部新聞に国会開会中からリークし続けた安倍派5人衆への関与は、秘書や本人への事情聴取はしたものの修正申告で解決するという声が流れ「地震被害や航空機事故で政治資金パーティー裏金事件は記事も減り、事情聴取を受けた秘書たちから聞けば『相当厳しく問われたものの、修正申告で帰らされた』という。峠を越したのではないか」と楽観論が支配的で党内に年末の緊張はない。

★首相・岸田文雄は党内に「政治刷新本部」を設置するが、特別顧問に就任する両元首相・菅義偉麻生太郎では党内でも政治文化が違いすぎ、「菅の派閥廃止論と麻生の派閥は有益」で議論がまとまらないことを見越したかのような人選では本気度が見えない。外部の有識者の名前が漏れてこないのも人選に苦慮しているからではないか。JNNの週末の調査ではこの新しい組織に「期待しない」と答えた人は59%に上った。岸田の鈍感力というが、このままでは自民党も済まないだろう。

★国民からも自民党からも、ただでは済まないのが東京地検特捜部だ。あおるだけあおって陣がさ議員数人逮捕では、安倍派幹部は「シロのお墨付きをもらった被害者」だ。「政治に負けるなら手を出すな」という声が国民から聞こえてきそうだが、1992年、元自民党副総裁・金丸信の5億円の闇献金事件で、検察が上申書の提出だけで略式起訴したことの反発から、検察庁正面の看板に黄色いペンキをかけられる事件が起きた。あの教訓を生かせず、もし見通しの立たない見込みだけで政治家を攻めあげたのだとしたら、または捜査途中で政治に忖度(そんたく)でもしたのなら、事件の概要や規模ではなく、検察の国会への挑戦ともとられかねない。無論、事件はこれからヤマ場を迎えるのかもしれないが、その懸念が多くの国民によぎったのではないか。(K)※敬称略