【政界地獄耳】特捜部のリミットは国会再開までの半月 自民党内は危機感と楽観論入り交じる - 日刊スポーツ(2023年12月28日)

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★年末になり来年の日程が出始めた。政界は次の通常国会がいつ開会するかは大きな問題となる。というのも、現在の東京地検特捜部による自民党政治資金裏金事件で政治家への直接着手は、次の国会開会までがリミットだからだ。なぜなら、国会議員は原則として国会の会期中逮捕されない(日本国憲法第50条)と規定されているように、国会開会中は議員に不逮捕特権が与えられる。また、会期前に逮捕された議員は、院の要求があれば会期中これを釈放しなければならないという特権もある。それを踏まえて政府、与党は来年の通常国会を1月26日を軸に召集する方向で調整に入った。

★仕事納めから仕事始めまでは動かなくなる年末年始を除けば、約半月しか特捜部に残された時間はない。11月下旬から政治家を名指しし、金額まで新聞に書かせて世論の機運を高めてきたものの、任意の事情聴取までで進まないのは作戦か、それとも特捜部の焦りか。相変わらず党内には危機感と楽観論が入り交じる。26日、首相・岸田文雄は講演で「資金の透明化は必ずやらなければならない。規正法改正が議論になるのは十分あり得ると想定している」と1カ月前でもいえそうな発言を、あたかも熟慮の発言のように言った。さらに「国民に疑念を持たれる事態を招いていることは大変遺憾で、心からおわび申し上げる」と余裕のあいさつをした。自民党の危機という認識に乏しく、支持率の低下の原因が自分の人気のなさだけでなくなったことに満足げだ。

★首相がご機嫌なのは、9年ぶりとなる国賓としての訪米が来年3月上旬で調整していることを日米両政府が公表したからだ。米バイデン大統領にとっても長く続くかわからない政権だが、首相にとっても花道論になりかねない。春闘、予算審議の中の訪米という3月は一体どんな政局になっているのか。今は全く見渡せない。(K)※敬称略