【政治地獄耳】過去の汚点が特捜のエネルギー 検察を本気にしたある事案 - 日刊スポーツ(2023年12月21日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202312210000050.html

★今回、東京地検特捜部は入念な事前の調査や証拠固めを行い、桜を見る会や河井法相夫妻大型買収事件などで追いきれなかった政治とカネを追及しようとしている。巨悪を眠らせない不退転の決意がにじむ。検察の正義に国民が注目しているに他ならない。一方、検察にも触られたくない案件があった。今回の政治とカネへのメスの背景には何があったのか。

★政界関係者がある記事を指して、東京地検特捜部が忘れたい汚点として残る事案が、今回の特捜のエネルギーのひとつになっているのではないかという。さてその記事とは何か。今年7月23日付の読売の「特捜検事、供述を誘導か…河井元法相の大規模買収事件で市議に不起訴を示唆」。記事のリードには「河井克行・元法相が公職選挙法違反で実刑となった19年参院選を巡る大規模買収事件で、東京地検特捜部の検事が元法相から現金を受領したとして任意で取り調べた広島市議(当時)に対して不起訴にすると示唆し、『現金は買収目的だった』と認めさせていたことが、読売新聞が独自に入手した録音データで明らかになった。不起訴を期待させ、特捜部の描く事件の構図に沿った供述を引き出した利益誘導の疑いがある」とある。「事件では、同法違反(被買収)で広島の地元政治家11人のうち8人が『不起訴を示唆され、買収されたと認めるよう言われた』などと公判で主張」「本紙はうち計6時間超に及ぶ録音データを入手した。任意の取り調べは、検察による全面的な録音・録画(可視化)の対象にはなっていない」と検事の誘導があったことを問題視している。(一報は21日付)

★読売の大スクープだが、広島市議が「金を受け取ったとの認識も買収資金との認識もなかった」と答えるも、不起訴にすると示唆し「現金は買収目的だった」と認めさせていた誘導は、安倍派の議員らの聴取と重なるところがある。その失敗があるからこそ、今回は瑕疵(かし)のないように慎重に進めるはずだ。事件はまだ始まったばかりだ。(K)※敬称略

特捜検事、供述を誘導か…河井元法相の大規模買収事件で市議に不起訴を示唆 - 読売新聞(2023年7月21日)

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