【政治地獄耳】30年前の忘れ物をとりかえす時 自民党は進んで派閥解消すべき - 日刊スポーツ(2023年12月20日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202312200000064.html

★19日午前、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、東京地検特捜部は同党安倍派「清和政策研究会」の事務所と二階派志帥会」の事務所に強制捜査が入った。国会閉会から着手まで期間が空いたのは16日から18日まで東京で日ASEAN友好協力50周年を記念する日ASEAN特別首脳会議が開かれていたため。この終了を待った形で動きだした。

★官邸はこの事態をどう見るか。18日、自民党幹事長・茂木敏充は「透明性が確保されていなかった」として政治資金規正法の改正を視野に検討すると言うが、首相・岸田文雄は「そういった選択肢も決して否定するものではないが、全容や課題や原因が明らかになる推移をしっかり見た上で対応を考えていかなければならない」と明確な決意が見られない。19日午後、首相は「人事については、どこの政策集団がどうかというのではなく、1人1人の事情や意向を勘案し、国民の疑念を受けないという点も踏まえながら行った。ご指摘の閣僚等については引き続き職責を果たしてもらいたいと思っている」とし、二階派に所属する法相・小泉龍司についても「捜査は厳正に行われなければならない。これは当然のことであると考えている」と続投させる意向だ。

★一強といわれた安倍派はこのキックバックで、派閥の権勢を維持しようとしていたことが、派内の議員の証言などからうかがえるが、いわばカネでつながっていた結束で派閥の役割が終わったといわれながらもカネを求心力に使っていたとなれば、自民党は進んで派閥解消、政治資金規正法改正、選挙制度改正の素案を出すべきで、野党の要求にも真摯(しんし)に応じるべきだ。首相はこれから課題が明らかになるというが、既に問題点は出尽くしている。特捜部は犯罪を認定する仕事で、再発防止は政治の課題と言える。30年前の政治改革も疑獄事件からスタートしたが、自民党の抵抗が強く海部内閣から幾つもの内閣が倒れ、最後は政権交代となった。その忘れ物を取り返す時だ。(K)※敬称略