【政界地獄耳】国会も予算も関係なく“お作法”破った特捜部 - 日刊スポーツ(2023年12月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202312150000094.html

★国会は閉会したものの安倍派(清和政策研究会)のパーティー券を巡る裏金疑惑は国会開会中から東京地検特捜部が一部の新聞を使って事件の大きさや、端緒になる部分をリークしながら事件を誘導してきた。他社の追随を許さない圧倒的な情報力で事件の方向を強く示唆し、だらだらと拡散しないように安倍派にターゲットを絞る形で国民に政治とカネのずさんな管理や運用、政治のうそやいかがわしさを強く印象付けた。安倍派の党幹部や閣僚は当初ポストにしがみついていたものの、最後は辞表を出すなど観念した様子を見せるが、後任人事には経験者を充てるなど岸田政権も安全運転モードだ。

★国民には増税だとか国にはカネがないなどと言いながら、先月14日には一般公務員の給与改定に準じ、首相を含む政務三役や内閣法制局長官ら特別職の給与を引き上げる給与法改正案が可決したばかりだが、その裏では裏金づくりをせっせとやっていて、その額も国民の理解の範囲を大きく超えるものだとわかった。今回ばかりは東京地検特捜部に国民は拍手を送っているだろうし、徹底的に捜査をして正義を貫いて欲しい。だが異例の会期中、年末から年始にかけ見通せない政局。来年の国会はいつ開けるのか、予算審議はどうなるのか。特捜部への喝采の裏で事件が国を揺さぶるだけでなく、国の行方が不透明になる国難への不安も感じざるを得ない。

★こういった問題は普通、国会会期中には触らないのが本来の“お作法”。しかし会期中から政治家の名前まで出す異例の仕掛けは政権運営にも大きく影を落とした。政界関係者は「ここまで攻める特捜も久しぶり。何か今まで我慢していた部分がはじけた感じもするが、国会も予算も関係ないかのごとく走るのもどうなのか」と疑問を呈す。それぐらいやらないと、うみが出せないのか、それとも検察ファッショか。(K)※敬称略