【政界地獄耳】野党の背信 中身よりも賛成したい与党かぶれに問題はないか - 日刊スポーツ(2023年11月28日)

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★国会は舞台を参院に移し27日から予算委員会がスタートしたが、政権への不満が募っているときに自分の都合だけで賛成に回る野党を国民はどう定義したらいいのだろう。補正予算とはいえ、24日に衆院を通過した23年度補正予算額は自公政権のみならず、日本維新の会と国民民主党の賛成で可決した。13兆1992億円。決して補正の規模とは言えない。まして首相・岸田文雄の経済政策や税制に関する目標、目的の着地点の見えない不安定な答弁に国民が不信感を持っている中、それを助ける行動は野党の立派な判断と言えるだろうか。

日本維新の会代表・馬場伸幸は「大阪が議会に予算案を計上して、国で否決すると矛盾するので苦渋の決断で賛成した」と、25年開催予定の大阪・関西万博会場建設費の一部が補正予算案に盛り込まれていることを理由に、補正予算に賛成したと言い訳をした。国民民主党代表・玉木雄一郎も、直前の首相との予算委員会の質疑で「トリガー条項」の凍結解除を検討するとした言質を取ったことで賛成した。22年度の本予算も同じ理由で国民民主党は賛成に回ったが、トリガー条項解除には至らなかった。補正予算衆院通過前には、自民党政調会長萩生田光一が国民民主党政調会長大塚耕平の事務所を訪ねるなど、弱り目の政権を支えてくれる珍しい政党にサービス。一方で同日、財務相鈴木俊一は「国・地方合計で1・5兆円もの巨額の財源が必要」と首相の減税プランに、「財源の原資はない」と水を差したように強いけん制をした。

★いずれも野党が1つの政策が一致するからと、他もすべて合意するこのやり方を野党顔して行使するのは国民への背信と思われても仕方がない。国民の中からも無駄遣いとの指摘が強い万博予算や、1度失敗しているトリガー条項議論にまた乗るなど、実は中身よりも賛成したい与党かぶれに問題はないか。各論賛成総論反対は野党のとりでではないのか。(K)※敬称略