【政界地獄耳】「悪質献金被害救済」は「悪質な野党分断」 国民不在の党利党略でしかない - 日刊スポーツ(2022年10月20日)

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予算委員会が動き出したものの野党質問は低調。ところが立憲民主党日本維新の会が進めていた「悪質献金被害救済法案」は19日、両党の国対委員長安住淳と遠藤敬に自民党国対委員長・高木毅を入れた3党委員長会談を開き、公明党を入れた協議会の設置を決め今週にも会合を開く。また同会談で25日に衆院本会議を開き立憲民主党の元首相・野田佳彦が元首相・安倍晋三の追悼演説を行うことも決めた。

★これでこの国会の骨格が見えてきたといえる。野党国対の協調路線をやめ、自民、立憲、維新の3党で事を進めようという新しい枠組みができたということだろう。つまり共産党を外し、本年度の与党予算案に賛成し、野党と扱わない国民民主党は無視すればいい。予算委員会はいくら低調でも立憲、維新は自公政権と協力して旧統一教会問題を“解決”というより“決着”させる方針だろう。与党は国民民主党に次いで、野党1党2党の共闘戦術を利用して野党を分断したといえる。この旧統一教会問題では身動きが取れなかった自民党は野党の協力でこの問題を前に進ませ、公明党は矢面に立たずに解決させる側につける。加えて立憲と維新は法案をリードした実績を残し、共産、国民民主を蚊帳の外における。法案は「悪質献金被害救済法案」だが、実態は「悪質な野党分断」でもある。

★維新はさまざまないきさつから公明、共産、国民と付き合えず、立憲は共産と付き合うと連合にがたがた言われるという事情があり、どの党共にベストプランといえる。だがそれが国民のためのベストなのかといえば、国民不在の党利党略でしかない。与党もこのまま立憲・維新とうまくやり続けるとも思えず、立憲・維新すら、どこでけんか別れになるかわからない。怪しい共闘は長続きしない。(K)※敬称略