【政界地獄耳】物価高や増税不安の中、絶えない錬金術とごまかし - 日刊スポーツ(2023年11月21日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202311210000016.html

自民党5派閥の政治団体が、政治資金収支報告書に過少記載したとして東京検察庁に告発された。一昨年まで4年間の収支報告書に、それぞれが主催した政治資金パーティーで、20万円を超える支出をした団体の名前や金額など合わせておよそ4000万円分を記載していなかったとして告発された。東京地検特捜部が各派の会計責任者などに事情聴取をしている。国民が物価高や増税の不安の中、政治はまたカネのごまかしだ。

★「清和政策研究会」(安倍派)約1900万、「志帥会」(二階派)約900万、「平成研究会」(茂木派)約600万、「志公会」(麻生派)約400万、「宏池政策研究会」(岸田派)約200万と、派閥の規模にならうように金額がそろうと、派閥というより党としての脱税指南があったのではないかと疑いたくなる。それでいて議員の給料を上げる法律は通す厚顔ぶりは、国民の理解を得られるとは思えない。さすがに首相・岸田文雄予算委員会での追及とは別に対応せざるを得なくなった。「捜査機関の個別の活動について政府の立場からコメントするのは控えなければならない」としながら、「政治資金の収集報告等において指摘があるならば、それぞれの政治団体において、責任を持ってそれを点検し、適切に対応するべきものである」としたが、それで済む話になるだろうか。

★すぐ不祥事に対して政治家は「適切に対応」というが、適切に対応できていないから指摘されている。まして、4年にわたる脱税はうっかりや記載ミスではなかろう。政治とカネの問題が絶えない中でいくらでも錬金術があり、何かがバレれば他の方法を探して付け替えているだけでないか。そもそも自民党の5大派閥は政策集団を名乗るが、勉強会で講師に話は聞くものの、政策そのものを派閥単位で出したことすらない。30年前、細川連立政権で政治改革の政治資金規正をしたものの、政界のカネのかかり方だけはこの30年間、右肩上がり。それでいて人材難となれば、今をしのぐだけの政治ということになる。(K)※敬称略