【政界地獄耳】格差社会が広がった今、新たな税収体系の構築議論すらなし - 日刊スポーツ(2023年11月18日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202311180000082.html

時事通信の最新世論調査で消費税減税の賛否を問うと「賛成」が57・7%、「反対」が22・3%。政党別では自民党支持層で賛成48・2%、反対33・9%。賛成は立憲民主党支持層で71・0%、日本維新の会支持層で58・5%。ほぼ全ての政党で賛成が反対を上回った。首相・岸田文雄所得税減税は踏み込んだ政策に見えるが、財務省からは増収分の原資は既になく国債で賄うという。それよりも消費税減税の方が現実的で効果があるとの専門家の分析が国民にも納得されている。

★一方、首相は1日の予算委員会で「消費税は社会保障のための財源」として「消費減税は考えていない」と繰り返すが、いわゆる財政規律派(財務省派)の理屈は「売上税時代から考えて消費税導入、税率アップと幾つの内閣が倒れたと思っているのか」という国民生活とは関係ない消費税導入苦労話。従順な議員は納得しても、国民には生活が懸かっている。自民党内も多くの野党も消費税率5%への時限立法を作るべきと主張しているが、立憲民主党だけこの政策を10日、取り下げた。党内の財政規律派が野党共闘つぶしのため押し切ったのだろうが、これを得策としたことで立憲民主党は国民から背を向けたことになる。

★同党の小沢一郎は「党として、もう現行(税率10%)でそのまま、ということなのか。これについては各議員がそれぞれ地元の有権者などから異議を申し立てられている。『自民党と一緒じゃないか』という話になりかねない。そこをあいまいにしていたのでは、支持はいつまでたってもあがらない」と憂いた。バブル期に3%の税率で導入されたときには国民すべてに応分の負担のイメージがあったが、格差社会が広がった今、この徴取しやすい税体系に無理があることを議論し、消費税の税率アップで税収をあてにする時代ではないとした新たな税収体系の構築議論すらない。立法府の不作為だ。(K)※敬称略