(政界地獄耳) いちるの望みかけた連合右派工作 - 日刊スポーツ(2020年8月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202008150000118.html

★75年前の終戦前夜、陸軍の青年将校の中に徹底抗戦を唱えるクーデター派がいたことは有名だが、国民民主党代表・玉木雄一郎が分党を言い出す前日、一部連合右派が地方議員に向け、立憲民主党への合流阻止と玉木の分党構想追随を了とする意味合いの文書を配っていることが分かった。事実、連合の12日の産別労組幹部会会議では各産別から合併新党の政策では「雇用を守り切れない」「組合員に説明がつかない」など強硬な反対論が出たという。

★いずれも原発政策や消費税減税政策などを念頭に反発が出たようだが、連合執行部は合流は連合からのお願いでもあること。半年前にも合流論が秒読み段階まで来ていたことを念頭に「いまさらいうことか」と産別の批判を強く退けた。国民民主党への残留を希望する議員には「連合は支援を打ち切る」とまで言うこと自体、いささか政治的内政干渉めいているものの、連合の不退転の決意がうかがえる。

★だが、国民民主党参議院内はいまだ混沌(こんとん)としている。この合流の最大のメリットは参院での党勢拡大が見込め、連合票が最大限生かせる形になること。参院内では連合右派系組織内議員が情勢分析に走ると共に、各方面からの多数派工作が活発で、一部には玉木に合流を思いとどまらせ、分党の勢力拡大にいちるの望みをかけたのには自民党参議院筋の後押しがあったのではないかともささやかれる。確かに参院での一大勢力は自民党にとっても脅威で参院のねじれから自民党政権運営に苦しみ、第1次安倍内閣はねじれを乗り越えられず早期の退陣を余儀なくされた。いわゆる連合右派は都知事小池百合子民進党代表・前原誠司による民社党復活計画「希望の党」の失敗に次ぎ、2度目の敗北となる。野党再編はどういう形に落ち着くのか、しばらく目が離せない。(K)※敬称略