【政界地獄耳】訪ロ鈴木宗男 クセの強いベテラン政治家を使いきれなかった維新の限界 - 日刊スポーツ(2023年10月10日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202310100000040.html

★事の発端は2日、ロシア外務省がアンドレイ・ルデンコ外務次官(日本を含むアジア太平洋地域担当)が日本維新の会参院議員・鈴木宗男と会談したと発表したことからだ。また昨年まで駐日大使を務めていた旧ソ連諸国で構成する独立国家共同体(CIS)担当のミハイル・ガルージン外務次官とも会談。5日間の訪問で野党議員への対応としては順当な顔が対応した。ロシア側も、これで政治家が対応すれば別の問題になることは配慮済みだろう。ロシアのウクライナ侵攻以降、日本の国会議員の訪ロは初めてとなる。

★これが日本維新の会にはどうしても認められないようだ。鈴木は今年5月の大型連休にも訪ロを計画していたが党から懸念を示され断念している。連休明け10日の同党役員会では鈴木が「ここは(藤田)幹事長に、はっきり言いたい。国益はあなたの100倍以上、私は考えて政治家として動いてきた。やっぱり言葉の使い方というか、平場で言う時は考えてもらいたい」と厳しい口調でまくし立てた。6日、党共同代表(大阪府知事)・吉村洋文は「党としては(ロシアに)行くこと自体にも反対の立場だ。考え方も違う」と強調。「厳しい処分をすべきだ。党紀委員会で除名相当という判断が下された」と双方の対立は根深い。

★1990年8月、イラククウェートを侵攻。イラクサダム・フセイン大統領は、在留外国人を国内の軍事施設や政府施設などに監禁。邦人の人質もいたが政府はなすすべもない。政府や政界、メディアの冷ややかな視線の中、9月に単身イラク入りしたスポーツ平和党党首・アントニオ猪木は人脈を駆使して説得を繰り返し、人質解放に成功した。今回の騒動で思うのは、野党第1党や政権をうかがう維新に外交安全保障は無理だということ。平時には一切役に立たなくとも、いざという時、有事の際にチャンネルが使えるかどうかが外交と安保だ。クセの強いベテラン政治家・鈴木宗男を使いきれなかった維新の限界を見た。(K)※敬称略