【政界地獄耳】戦術家ゼレンスキー大統領は日本の何を突く?- 日刊スポーツ(2022年3月22日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203220000122.html

★結局、ウクライナのゼレンスキー大統領は今日22日にも日本の国会議員に向けての演説を行う。ジャーナリスト・江川紹子がツイッターで言うように「ゼレンスキー大統領はかなりの戦術家だと思う。彼のスピーチライターは誰なのだろう。すごく優秀」という評価と共に、戦争広告代理店のスピーチライター関与説まである。ただ日本維新の会鈴木宗男のようにロシアのウクライナ侵攻を巡り「原因を作った側にもいくばくかの責任がある」とする議員もおり、演説はビデオ収録になるだろうが、本会議場よろしく「やじでも飛ばすのか」(与党議員)と皮肉る声もある。

★ではゼレンスキーはどんな演説をするのか。既に議会で演説を終えた米、英、カナダ、ドイツではそれぞれの国の実情や歴史を踏まえ国民の琴線に触れる、またはナショナリズムをくすぐって感情を揺さぶる話術と映像手法が功を奏した。ことに米議会では1941年の真珠湾攻撃や2001年9月11日の攻撃を思い出すよう促すと、数時間後にホワイトハウスは8億ドル(約920億円)規模の武器供与追加を発表している。

★さて日本での演説の内容を予測すれば、20世紀以降の戦争で唯一ロシアに勝利したのは日本だと日露戦争に言及し持ち上げるだろう。当然、ロシアのプーチン大統領が核使用をちらつかせたことに絡めて広島、長崎という唯一の被爆国であることも持ち出すのではないか。ウクライナと似ている地政学的共通項を示すかもしれない。隣国との付き合い方や不合理なことを突きつけられているとなれば当然、わが国固有の領土である北方領土についても触れるだろう。元首相・安倍晋三が14年のクリミア併合を受け、欧米各国が経済制裁を科している最中に、日本から3000億円投資で合意したのは間違いだったと指摘する可能性もある。(K)※敬称略