暴言の丸山議員 責任取り辞職すべきだ - 北海道新聞(2019年5月15日)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/305044
http://archive.today/2019.05.15-011818/https://www.hokkaido-np.co.jp/article/305044
国民を代表する立場の者として口にすることが許されぬ暴論だ。
北方四島ビザなし交流訪問団に参加した日本維新の会丸山穂高衆院議員が滞在先で、元島民の大塚小彌太(こやた)団長に、四島返還について「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと問うた。
戦争による北方領土問題の解決を示唆したものと受け取られても仕方ない。
日本は憲法9条国際紛争を解決する手段として戦争と武力の行使、威嚇を永久に放棄している。その趣旨に反する著しく不適切な発言である。
丸山氏は酒に酔っていたという。過去にも飲酒によるトラブルを起こしており、国会議員の資質を明らかに欠いている。
丸山氏は発言を謝罪、撤回し、離党届を提出したが、維新の会の松井一郎代表は議員辞職すべきだとの考えを示した。当然である。
ビザなし交流は領土問題の解決に向け、元島民とロシア人島民が直接触れ合い、互いの信頼を醸成する場だ。
丸山氏は衆院沖縄北方問題特別委員会に所属しているにもかかわらず、交流の目的を理解していなかったのか。「戦争」に言及するとは常軌を逸している。
丸山氏は自らの考えでなく一般論だと釈明したが、にわかには信じがたい。
政府は大戦末期に不法占拠された北方四島を外交交渉によって取り戻そうとしてきた。発言はその立場と相いれない。
政府と一体で返還運動に取り組み、交渉を後押ししてきた元島民の努力をも踏みにじるものだ。
大塚団長は丸山氏から「戦争で島を取り返すのは賛成か反対か」と問われ「戦争なんて言葉は使いたくない」と反論した。その思いはよく分かる。
心配なのは、ただでさえ行き詰まっている領土交渉への影響だ。
丸山氏の発言について、ロシア上院のコサチョフ国際問題委員長は「日ロ関係の流れの中で最もひどい」と批判した。
日本の国会議員から「戦争による領土奪還」の考えが示されたことで、ロシア側の反発が強まり、交渉が後退しかねない。
改憲を目指す維新の会の国会議員から、戦争を容認するかのような考えが示されたことは見過ごせない。
維新の会は丸山氏の除名を決定したがそれで幕引きはできない。発言自体の問題点と党の立場をより丁寧に説明してもらいたい。