【政界地獄耳】塩谷衆院議長なら安倍派分裂の危機 - 日刊スポーツ(2023年9月29日)

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★首相・岸田文雄の今回の組閣で一番注力したことは、外相・林芳正を外した事と官房副長官木原誠二の辞任を認め幹事長代理兼政調会長特別補佐に就任させたこと。それでいて26日の党役員会では幹事長・茂木敏充に「政調」と党の特別機関「79条機関」の役員人事を「党7役」(幹事長、総務会長、政調会長、選対委員長、国対委員長、組織運動本部長、広報本部長)は兼務させないよう指示。幹事長が実質的に権限を握る79条機関を首相直轄にする意向なのは茂木への不信感だ。

★安倍派(清和政策研究会)は派閥のトップを1人に決めるはずが、結果15人の集団指導体制にならざるを得なかった。派内の人事も官房長官松野博一経産相西村康稔、党政調会長萩生田光一国対委員長・高木毅、参院幹事長・世耕弘成のいわゆる5人衆すべてを留任させた。派内の若手は最大派閥なのにポストが回って来ず、岸田の人事を批判しているが、1人でも動かせば派内が混乱するのは明白。全員留任は岸田の親心だろう。ここで派閥の後継者を誰にするか、トップが明確に育成しないと大変なことになるという教訓を岸田は得た。林と木原が今後はその任に就く。

衆院議長・細田博之は夏前から入退院を繰り返している。「当然、後継議長人事は水面下で進んでいる」(官邸筋)。キャリアからすれば党幹事長、財務相や派閥の領袖などを務めた額賀福志郎が順当だが、党ベテランからは「三権の長にふさわしいか」と批判が出ている。ここまでくれば最後は人望がものをいう。額賀の人気のなさを逆手に取り、細田と同じ派閥で当選回数で並ぶ、安倍派座長の塩谷立の名前がどこからともなく聞こえだす。「塩谷は打診あれば飛びつくだろう。そうなれば安倍派は分裂の危機に瀕する」(同派若手議員)。実現しなくとも派内の疑心暗鬼は広がる。国民民主党の元参議院議員首相補佐官に起用した矢田稚子の人事も、周りをざわつかせることの効果を存分に発揮した。これが岸田人事だ。(K)※敬称略