岸田派以外候補者を一本化できず この総裁選後、派閥は大きく形を変える - 日刊スポーツ(2021年9月18日)

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自民党総裁選挙は候補者4人が出揃い、総裁・菅義偉の任期満了に伴う総裁選挙が17日に告示された。メディアは大騒ぎだが、候補者が小粒で魅力に乏しく、衆院選挙前の総裁選挙にもかかわらず国民への目の覚めるような政策も出てこない。一方、党内若手の不安が募り右往左往する様は自民党がお友達内閣や官僚どう喝内閣ばかり作ってきたおかげで、新たな人材を育成できていないことを露呈させ、派閥の力学すら破壊してしまったといえる。

★党内は岸田派以外の6派閥が候補者一本化に失敗、自主投票という体たらくだが、1年前に安倍晋三が残した任期を引き継いだ菅にはあっという間にすべての派閥の支援が決まったことを考えると、党内にはあの派閥主導のやり方が間違いだったという反省があるのだろう。いずれも衆院選挙直前だからこその党内の本音に各派が押し込まれた。

★16日に開かれた党内第2派閥の麻生派(53人)の緊急総会はまさに党の現状を如実に表している。会長の副総理兼財務相麻生太郎は9年間に渡りその座に君臨していたが、ワクチン相・河野太郎と前政調会長岸田文雄の名前を挙げ「基本的に両名を支持したい」と表明した。また前総務相高市早苗にも「どうしても応援したいという信条を否定するつもりはない」とエラそうな説明だが、何もグリップできないのが現実だ。既に派内では30人余りが河野支持と言われるが、河野の背後には菅や元幹事長・石破茂など麻生の指向とは異なる人脈が控えている。それは最大派閥・細田派も同じで、自主投票にしたものの派内には総裁候補と言われる政調会長下村博文、元防衛相・稲田朋美、ワクチン相・西村康稔がいるが出馬は見送った。ところが同派の福田達夫が若手を結集させたことから細田派は安倍が戻るどころか福田への期待も高まり下村らの求心力は衰えるだろう。この総裁選後、派閥は大きく形を変える。(K)※敬称略