【政界地獄耳】国会の流れを決めるのは公明党の舵の切り方か - 日刊スポーツL(2023年1月21日)

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自民党政調会長萩生田光一が防衛費増額に伴う増税の前に衆院解散・総選挙で国民に信を問う必要があると発言したことに対して10日、公明党代表山口那津男は「解散は首相・岸田文雄の専権事項だ。その権限のない人が、こういう理由で『解散しろ』とか『解散するな』とかいった発言は控えるべきだ」とくぎを刺した。中堅議員が解散を口走るのを党3役がたしなめるのを聞いたことがあるが、他党の代表から3役である政調会長に苦言を呈されることは相当珍しい。

★また山口は自民党前幹事長・甘利明少子化対策の財源に消費税という発言も「しっかり議論して、国民の理解やコンセンサスをつくるのが先だ。いきなり増税論が出てくるのは避けるべき」とたしなめた。一方、前首相・菅義偉が岸田批判を強めている。10日、甘利発言を否定する形で「消費税を増税してそこ(少子化対策)をやることは全く考えていません」と言い切った。ほかにも防衛費増額に伴う増税についても「突然で議論がなさ過ぎた」と岸田批判を相次いで行い、岸田が派閥の会長を続けていることについて「歴代総理は派閥を出て総理を務めた」と攻勢を強める。

★19日、公明党中央幹事会長・北側一雄も菅の「突然だった」発言に「突然出てきた印象はない。防衛力強化については去年のかなり早い段階から総理をはじめ政府側で発信をされていた。防衛力の抜本的な強化には相当規模の予算が必要だ。唐突に増税の話があったとは理解していない」と反論。安倍派などが言う国債で賄うことについても「60年償還ルールはひとつの歯止めになっている。(ルール見直しは)事実上、国債発行が増えることになってしまい、財源にはなり得ない」と明確に岸田擁護を強める。財務省をはじめ霞が関を味方につけ、米バイデン大統領に「親友」と言わせた岸田を攻撃して反主流派に回ることが得策でないとの判断が公明党に働いたか。公明党のかじの切り方が来週からの国会の流れを決めるか。(K)※敬称略