【政界地獄耳】岸田文雄に8月組閣を断念させた意外な抵抗 - 日刊スポーツ(2023年7月27日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202307270000134.html

★26日には参院で特別委員会の閉会中審査が開かれ、マイナンバー制度を巡るトラブルなどが質疑されたが、この問題が秋の国会まで引きずられるのは必至だ。その対策もあって首相・岸田文雄が早ければ来月上旬にも党役員人事と内閣改造を断行しようとしていた計画は意外な抵抗にあって断念せざるを得なかった。マイナンバーカードの混乱や10月からスタートするインバウンドへの国民の不安などを払拭、また防衛費増強の内訳などが明らかになることで議論が再燃することなどを鑑み、首相は早期の改造で秋の国会への準備期間を十分持つことで、乗り切る腹だったといえる。8月中のお盆前か、お盆後なら日程も落ち着くことから官邸は、その時期にもくろんでいた。

★思えば1年前、7月10日は参議院議員選挙が行われた。選挙中には元首相・安倍晋三が凶弾に倒れるなど、政界は騒然としたが8月10日、岸田の好きなサプライズ的な党役員人事と内閣改造が行われた。事態は安倍殺害とそれに伴う党内のざわつきを抑えることと、旧統一教会関係議員排除などの命題を帯びた組閣になった。

★今回も岸田にはこのサプライズ組閣が念頭にあったか、断念させたのは霞が関の官僚たちだった。「無論、各省の幹部たちも口には出せないが、今回は官邸周辺で首相を支える人たちがかなりしっかり進言してくれたようだ。この時期各省は概算要求をまとめる予算の入り口で、これを受けて各大臣は内閣改造で交代していくものだが、昨年8月の改造では、幹部クラスの夏休みがすべて飛んだといっても過言ではない。だが、それはしょうがない。なんだかんだと言っても各部署で1カ月ぐらいかけて交代で夏休みをとるのだがそれが消えた。それが今年も8月に組閣となると、働き方改革に逆行著しいということになる」(自民党ベテラン議員)。岸田内閣は霞が関の官僚に依存するところの大きい政権だ。「ちゃんと休んでもらうということになった」(党幹部)が真相だ。(K)※敬称略