【政界地獄耳】身内に甘い維新は「安倍政治の申し子」か - 日刊スポーツ(2023年5月26日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202305260000112.html

★「ふざけんなや」「こっちこいや」といった言葉は普通の社会でも、先輩が後輩の女性になかなか使わない言葉だ。ましてそれが大阪の府議大阪維新の会大阪府議団代表・笹川理が同党市議に向けたSNSでの発言だというから恐れ入る。維新の議員は地方議員から国会議員まで国民の代表として模範を示すほどの人格や品格は問われない。また維新支持者や有権者も、容認してきたが不祥事は絶えない。ことの重大さを感じない維新の神経も相当なものだ。維新は身を切る改革というが身内には甘い。

★15年、笹川に被害を受けた女性市議が党に訴えると、当時幹事長だった前大阪市長松井一郎が笹川にやめろと指導していた。今回も笹川は謝罪で決着していたが、突如府議団長を辞任した。思えばコロナ禍で国民全体が協力、自粛していた時にも松井自身が「2時間程度以内、1テーブル原則4人以内」と市民に指針を示しながら、飲食店に党関係者や議員などを集め30人で2時間半以上にわたり「反省会」を開いた。松井は「人数の上限はないもん。だからやった。問題あります」と言い放った。ほかにも東京都港区議が女子高生3人に下半身を露出して逮捕。大阪市議が街宣車の運動員に報酬を払い公職選挙法違反で逮捕。大阪府松原市の市議は議会を体調不良で欠席し妻と沖縄旅行。江戸川区議はひき逃げで道路交通法違反と自動車運転死傷処罰法違反容疑で書類送検。政治家の前に倫理観の欠如といえる。

★無論、他党にも不祥事はある。だが短期間にこれほどの事態は異例だ。在阪メディアが維新に寛容だということもある。問題は社会も政界もこの程度のことと高をくくり、いちいちとがめなくなった。あえて言えば、安倍政権時代から超法規的に文書を改ざん、虚偽答弁も悪い事とか恥ずかしい事と当事者が感じず、国民の倫理観がずれ、このくらいなら良いのかなと事態を見くびる状況が続いたからではないか。維新は安倍政治の申し子か。(K)※敬称略