【政界地獄耳】自民だけが世界中から後れ取るLGBT - 日刊スポーツ(2023年3月22日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202303220000096.html

ウクライナに行きたくてしょうがなかった首相・岸田文雄がこだわった動機は日本以外の先進7カ国(G7)の各国はウクライナに首脳が出向いているということ。なんなら多くの国がロシアとも対話を続けていたが、そちらには見向きもせずにウクライナ訪問にこだわった。それも結構だが、同様にG7と欧州連合EU)の駐日大使がまとめたLGBTQなど性的少数者の人権を守る法整備を促す私的書簡は2月17日付で首相に送られている。

★音頭を取ったのはエマニュエル駐日米大使。きっかけは首相秘書官・荒井勝喜のおぞましいばかりの差別発言からだったという。荒井は2月3日、官邸で同性婚について問われ「マイナスだ。秘書官もみんな反対している。僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいたらやっぱり嫌だ」「もちろん人権や価値観は尊重するが、心の底では嫌だ。同性婚を認めたら、国を捨てる人が出てくる」と発言。首相は「多様性を認め合う社会を目指す政権の方針とは相いれない発言で言語道断だ」とし直ちに更迭した。さてその書簡には「LGBTQへの等しい権利を求める日本の世論が高まっているだけでなく、差別から当事者を守ることは経済成長や安全保障、家族の結束にも寄与する」、また「全ての人が差別や暴力から守られるべきだ」と明記した昨年のG7サミットの文書には日本も署名しているとし、「日本とともに人々が性的指向性自認にかかわらず差別から解放されることを確かなものにしたい」などと書かれている。

自民党は「LGBT理解増進法案」を考えるものの、統一地方選前にはまとめきれないと先送りしたい考え。ただこの程度の法案では国際社会が認めない。立憲民主党共産党などは書簡同様、「LGBT差別禁止法案」を進めたい考えだが、経団連会長・十倉雅和までが「世界は理解増進ではなくて、差別を禁じ、同性婚を認める流れにある。欧米に遅れ恥ずかしい」と言い出した。自民党だけが世界中から後れを取っている。(K)※敬称略