【政界地獄耳】差別指向に極めて寛容な岸田首相 - 日刊スポーツ(2023年2月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202302070000029.html

★1月26日の参院本会議での質問に答えて、首相・岸田文雄同性婚制度に関し「わが国の家族のあり方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要する」と消極姿勢を貫いた。1日の衆議院予算委でも、同性婚の法制化について聞かれ「家族観や価値観、そして社会が変わってしまう課題」と否定的な答弁をしていた。

★3日夜、首相秘書官・荒井勝喜はLGBTなど性的少数者同性婚について「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」「(同性婚制度の導入となれば)社会が変わる。社会に与える影響が大きい。秘書官室もみんな反対する。同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などの発言が報じられた。スピーチライターなどの要職を担っていたというが、委員会などの答弁も書いていたという。荒井は更迭されたものの首相と考えを同じにしていたといえる。そもそも首相は差別主義者の杉田水脈政務官に起用し、問題発言が続いていても更迭するそぶりも見せず、昨年末にやっと辞めさせるなど、極めて差別指向に寛容だ。

★21年5月、LGBT法案が審議されていた時、自民党の部会では旧統一教会と近いとされる元国家公安委員長山谷えり子が「体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろとか、ばかげたことはいろいろ起きている」とし、「しっかりと議論することが保守政党としての責任だ」と発言している。本当に保守の責任なのだろうか。英国保守党では1975年に女性首相・マーガレット・サッチャーを誕生させ、現在は東アフリカからイギリスに移住したインド系の両親をルーツに持つリシ・スナクが首相だ。自民党で女性首相や外国にルーツを持つ首相を自民党は認められるだろうか。英国BBCは今回の騒動を「日本は主要7カ国(G7)で唯一同性婚を認めていない」と報じた。今の自民党の理屈は硬直化した寛容さのない古くてダメな保守ではないのか。広島サミットで「岸田君、君は差別主義者か」と各国から問われる日は近い。(K)※敬称略