【政界地獄耳】早々に矛を収めた高市早苗 アピールには十分だったか - 日刊スポーツ(2022年12月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202212140000078.html

★8日の政府与党政策懇談会で首相・岸田文雄が防衛増税をぶち上げたところからボタンのかけ違いは始まっていた。自民党内の防衛族も組み立てがおかしいと主張する。その中で閣内にいる経済安保相・高市早苗ツイッターに10日、「普段は出席の声がかかる政府与党連絡会議には、私も経産相西村康稔も呼ばれませんでした。その席で総理から突然の増税発言。反論の場も無いのかと、驚きました」と書き込んだ。

★防衛費増強は元首相・安倍晋三の悲願。それも国債でやれが“遺言”だった。だが官邸は過剰に反応し、高市は「任命権は総理にあるので、罷免をされるということであれば、それはそれで仕方がないという思いで申し上げている」と腹をくくり、「ジャンヌダルクの心境で挑んだのだろう。党内若手からも『唐突な増税論で党内議論がない』と不満を吸収。高市はこれで首相を揺さぶれると踏んだのだろう」(自民党ベテラン議員)。だが「総理と私の認識は違っていなかった」と高市は矛を早々に収めた。アピールには十分と踏んだのだろうか。

★前立憲民主党議員・山内康一が防衛費増税議論の間違いを端的に指摘する。「そもそも議論の仕方がおかしい。最初にやるべき議論は<1>どんな軍事的脅威が存在し<2>いまの自衛隊の装備や人員では何が足りていなくて<3>どんな防衛力を整備すべきかの計画を立て<4>それには〇〇兆円が必要だという順序ではないか。まずGDP2%ありきという主張はおかしい。GDP2%だと日本は世界第3の軍事大国になりますが、それでいいのかということから議論すべき」と発言している。そもそも議会で議論するまでもなく、野党も敵地攻撃能力に前向きとなれば、議論すらできないまま軍事大国を目指すだけになる。(K)※敬称略