【政界地獄耳】党の政策にもならない私見だけの自民党総裁選 - 日刊スポーツ(2021年9月21日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202109210000077.html

★党内の総裁を選ぶための自民党総裁選挙が混戦だからと、メディアはニュースでないことまで何かの事件かと思うほど扱い続けている。加えて候補者が小粒すぎて、また過去の発言と整合性が取れないことも平気で言う。自民党政権公約と違うことをしてきても反省しないし、そもそも安倍・菅政権の評価をせずに、公約を語ること自体がおかしな話。それを熱心に聞いたところで4人の感想でしかない。ひと言ひと言が国民のすべてに伝わるように話していない。国民は彼らが首相指名を経て次の首相になると思うから耳を傾ける。ところが候補者たちが私見を述べるばかりではメディアが総裁選挙に時間を割く意味がない。

★すると18日の4候補の討論会の感想を前首相・安倍晋三ツイッターで「見識を示されたら困るのか、彼女をスルーする見識無き質問者まで出る始末(笑)」と候補者の1人、高市早苗に質問しないメディア側に苦言を呈した。聞くことがない、公平さが必要ないこのやり取りで、質問がないのはおかしい、質問しろということなのだろうか。まさにそんな声が出るのは党の政策ではなく、総裁選での実現の可否のない政策にもなっていない私見をしゃべるだけの戦いだからだ。候補者たちは党の政策の継続性ではなく、私の考える良かれと思う政策を話しているにすぎない。

★日本は経済規模ではまだGDP世界第3位だが、ここ30年のOECD経済協力開発機構)のデータによれば所得の名目値も停滞している。人口比でカバーしているが個人の名目比では1997年をピークに日本人労働者の平均給与は減少し、当時の水準に戻すところまでもいっていない。今こそ、都合のいい数字ばかり並べず、衰退大国からの脱却の聞こえのいい処方箋ではなく、現実を国民に知らせるべきだろう。選挙前にできないというならば、自民党は粉飾を隠して選挙に臨むということになる。(K)※敬称略