【政界地獄耳】防衛増税「財源論」だけの与野党 国家論のない政党の議論参加に違和感 - 日刊スポーツ(2023年1月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202301240000029.html

★幼稚なロジックにひっかけられた末路は何か。敵基地攻撃能力というと先制攻撃だとばれるので反撃能力と言い換えれば、国民は攻撃を受けた後に反撃するものだから妥当だと考える。現在の防衛力、防衛整備では足らないところがあるというのなら、まずどこにどんな危機があるかを政府、防衛省や外務省は明示する必要がある。その対策として防衛費をこれだけ足したいというのならばわかるが、NATOの国々は防衛費を2%にしているから2%に合わせますでは合理的な説明ではなく財務省も認めない。だが増税で処理するのなら財布が痛まない財務省はとがめない。

★防衛費を倍増すると国民は貧しいが軍事力だけは世界3位の軍事大国になるという説明から入れば国民はどう感じたか。本質論を回避し、不安だけをあおるのでは独裁者のいる軍事大国のそれと同じになりかねない。そこで議会の審議が必要になる。第211回通常国会が召集された。6月21日までの150日の会期だ。そこで歳出総額が過去最大となるおよそ114兆円となる来年度予算案が審議されるわけだが、野党はその防衛費増強についての内容に興味がない。その財源を増税で賄うべきでないということだけに議論を集中させたいようで、どこに脅威があるか、装備の何が足らないか、そのために何が幾ら必要かの議論はしないのか。防衛増税の賛否だけが問われるのなら野党も単に理由なき防衛力増強派でしかなく、軍費の財源探しでしかない。与党とその部分では何ら違いはない。そもそも5年間で43兆円にするのならば財源論にはすべての財源の見直しや時限増税の議論になるが、軍事大国化する議論にくみさないことがおかしい。この国がどういう国家になっていこうとするかの議論をせずに財源論だけ審議する国会の見識を疑う。国家論のない政党がその議論に参加することにも違和感を覚える。(K)※敬称略