【政界地獄耳】野党の体たらくが招いた「鳩山由紀夫出馬」 - 日刊スポーツ(2022年6月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202206150000092.html

★元首相・鳩山由紀夫は自らが代表を務める政治団体共和党」から次期衆院選挙に出馬する意向を表明した。また夏の参院選では神奈川から候補を擁立する。自身については選挙区もまだ決めておらず、自らが運営する財団法人に寄付を続けていることから自身の出馬は法律上難しい。「問題をクリアしたい」という。この行動に野党の面々は「相変わらず宇宙人」「お騒がせ」「困った人」と批判ばかりだ。自ら作った民主党は今や分裂して一つは自民党に迎合、もう一つは提案型と称して自民党に寄り添う体たらくで野党の灯は風前のともしびだ。

★鳩山批判も結構だが野党がその役割を放棄し、議会でのチェック機能の果たさないさまを見ていれば、歯がゆく、義憤にかられる鳩山の心情を察してもいいはずだが、金策に困ると鳩山を訪ねる者ばかりでは最後は自分がやるしかないのではないかと追い込まれた鳩山の苦悩も理解できる。まして沖縄問題が結果的にライフワークになり、頻繁に沖縄入りし中国や韓国、ロシアにも独自の人脈やネットワークのある鳩山に教えを乞う野党議員はどれほどいるだろうか。

★鳩山は政界復帰を目指しているのではない。いったい今の政治や野党はどうなっているのかと問うているのだろう。その意味では鳩山をはじめ歴代の野党幹部は後継を担う政治家を育成してきただろうか。以前は自民党出身者や閣僚経験者が野党にも多くいて人材を育んできたといえる。今、立憲民主党には小沢一郎中村喜四郎玄葉光一郎岡田克也自民党出身者がいる。いずれも政界のベテラン議員だ。彼らに若い議員はどれほど話を聞いて勉強になるか、地元活動、質問の仕方、国会戦術、ありとあらゆる経験を引き継ぐべきだ。野党立て直しはそこからではないか。(K)※敬称略