【政界地獄耳】ウクライナ情勢、処理水の海洋放出…責任論比較で分かる報道バランス - 日刊スポーツ(2022年4月30日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202204300000083.html

★26日、復興庁は東京電力福島第1原発から出る処理水の海洋放出について日本を含む8カ国・地域(韓国、香港、台湾、シンガポール、英国、米国、フランス)にネットで初の意識調査を行い結果を発表した。処理水が海洋放出された場合、現在と比べて福島県産の食品を「購入しようと思わない」と答えた国・地域は2~4割台だったが最も拒否感が強かったのは韓国で、現在も「購入しようと思わない」が77・7%、放出後は76・0%。実態よりも報道頻度や、前提とされるイメージなどから韓国の拒絶反応がうかがわれる。報道やネットを軸とした評価が強く出ているのか。

★同様の事態は国内報道とウクライナ情勢でも起きている。英ブランドビジネス評価コンサルタント、ブランド・ファイナンスの「グローバル・ソフトパワー・インデックス」によれば「ウクライナ紛争は誰に責任があるか」でロシア、ウクライナNATO、米国を選択する問いに、日本の7割がロシアを選択、英国、ドイツ、フランス、ブラジルが6割から7割近くもロシアと選択しているが、米国はロシアが6割弱、米国自身が3割程度となっている。

★また南アフリカはロシアに責任があるが5割、NATOが2割、トルコはロシアが4割強、3割が米国、中国は5割が米国、2割がNATO、ロシアとウクライナが1・5割で続く。日本と英国、ドイツ、フランス、ブラジルは同様の報道が連日続いていて善悪の明暗がくっきりしているのだろう。こういった比較を見るとその国がロシアに対して持つイメージと政府の姿勢、それに準じた報道のバランスによるものだということがわかる。それにつけても米国の3割が米国に責任があるという結果を見ても、米国内に報道に多様性があることがうかがえる。韓国の拒絶反応といい、日本のロシアへの厳しい見方といい、1つの方向性が強く出る結果に、立ち止まって整理する時間が必要ではないかと思う。(K)※敬称略