【政界地獄耳】ゼレンスキー大統領演説の裏で - 日刊スポーツ(2022年3月26日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203260000074.html
★国会議員の動員と感動を呼んだウクライナ・ゼレンスキー大統領演説だが、衆院事務局が事前に作成した式次第には「事前にスタンディングオベーション、起立、拍手みたいに書かれている。少なくともスタンディングオベーションというものは自然発生的に発言された内容に対して多くの方々が心揺さぶられたり、いろんな感情を持って贈るものが基本」とれいわ新選組代表・山本太郎が暴露した。

★その一方、政界にはこの演説の実現と内容に米国関与説が根強い。その声を総合すると、まずアジアで最初に援助を表明した日本にお礼をというが、ロシア寄りで台湾侵攻を夢想する中国をけん制することが最大の目的で日本で早急に演説しろと米国が誘導したのではないかという疑念があるという。加えて演説内容が他国の調子と違い穏やかで批判はなく、歴史を引いての国民感情をあおることなく、それでいて日本人には極めて反応しやすいキーワードで覆われていた。津波サリンにさりげなく触れ、要求は国連改革、戦後復興について。米国にとっての関心事でもあり抑制的であったものの極めて米国発信のトーンだったのではないか。またロシアが核使用をちらつかせたことから広島、長崎への言及が予想されたが触れなかったのは米国主導の証しではないかというもの。

★翌24日に行われたイタリア国会でのゼレンスキー演説では「彼らのほとんど全員がイタリアを休暇先にしている」「彼らの財産を封じ込め、銀行口座を没収し、豪華な巨大なものから最も小さいものを含めた彼らのヨットを接収して欲しい」とロシアの新興財閥などへの具体的な対応を、また同日のNATOサミットでゼレンスキーは「みなさんは何千もの戦闘機を持っているのに、まだ1機も受け取っていない」と訴えている。その違いも疑念の理由となる。(K)※敬称略