https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203240000061.html
★本当に電力は足りなかったのか。無論不測の事態、緊急事態としての対応で電力会社を責めるつもりもない。だが元都知事・猪瀬直樹がNEWSPICKSで指摘するように「他電力会社からの東電への融通がわずか140万キロワット(電力供給の3%)でしかないことがそもそもおかしいのだ。この数字は電力改革を妨げてきた地域独占電力各社にも責任がある。困ったらユーザーにお願いします、だけでなく今後にまた電力逼迫が起きた場合のためにどう電力自由化を進めるのか、その展望を示さなければいけない」の視点が必要という声がある。
★今回の需給逼迫(ひっぱく)の要因は寒さによる需要急増と16日の福島県沖を震源とする地震で一部の火力発電所が停止、加えてウクライナ危機によるガソリン価格高騰などの要因が重なったとみるが、真夏ならともかく国民から見ればこれほど電力供給力がぜい弱なのかと驚いたはずだ。全国で融通を利かせていくことの限界はいかに余裕がないかということを物語るが、経産相・萩生田光一がこのままでは(管内全域に停電が及ぶ)ブラックアウトを避けるために「広範囲で停電せざるを得ない」と言ったり、東京電力ホールディングス管内について「電力需給逼迫警報」を解除せずと会見で発言しているさまを見ると、政治の失策と言わざるを得ない。
★もっとも政府にとってはこの現実を国民に突きつけ原発再稼働の世論喚起に利用したいのかもしれないが、周波数変換施設の増加や身近な自治体やマンション規模での蓄電池の増設などの議論が必要だろう。オール電化とか電気自動車の時代が来るはずだが、政策はお粗末だ。(K)※敬称略