九州電力 太陽光の出力制御実施 大規模停電回避へ - 毎日新聞(2018年10月13日)

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/business/mainichi-20181014k0000m020122000c
http://archive.today/2018.10.14-024605/https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/business/mainichi-20181014k0000m020122000c


九州電力は13日、九州域内の一部の太陽光発電を一時的に止める「出力制御」を離島以外で初めて実施した。九州の幅広い地域で晴天となったため、太陽光の発電量が増えて需給バランスが崩れ、大規模停電(ブラックアウト)に陥るのを防ぐのが狙い。13日は43万キロワット分を抑制する計画だったが、14日はそれを上回る62万キロワット分の太陽光を制御する予定だ。
14日は発電量が最大となる午前11時〜11時半の時間帯に需要が758万キロワットにとどまる一方、供給力は1242万キロワットに達する見通し。揚水発電の水のくみ上げ動力などとして226万キロワットの電力を使うほか、九州と本州をつなぐ送電線「関門連系線」で196万キロワットの電力を送る措置を講じても、62万キロワット分の電力が余ってしまうため、連日の出力制御を決めた。
対象件数は非公表としているが、初回の13日が九州北部中心だったため、鹿児島や熊本、宮崎などの太陽光が多いとみられる。出力制御は国のルールに基づくもので、原発や水力、地熱よりも先に太陽光発電を抑制する。
13日は午前11時半〜午後4時に出力制御を実施。遠隔制御で電力が送電線に流れないようにするなどした。需要が最大(851万キロワット)となった同日午後0時半〜1時の時間帯には、32万キロワット分の事業用の太陽光を止めた。トラブルの報告はないという。国は今後、審議会などで出力制御の実施が妥当だったか、詳細な経緯を検証する方針だ。
2012年の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)開始以降、太陽光は全国的に急増。特に土地が安く日照条件が良い九州は普及が進んでおり、今年8月末の導入量は原発8基分に相当する807万キロワットに上っている。FIT導入前の11年度末に比べ、10倍超の規模だ。
電力は、企業や家庭の使用量(需要)と発電量(供給)が常に一致しないと周波数が乱れ、最悪の場合、発電所の連鎖停止でブラックアウトにつながる恐れがある。北海道地震のように電力不足のケース以外に、電力が余る場合でも発生する。そこで全国の電力大手は日々、需給バランスを調整している。
九州は太陽光の拡大に加え、川内(せんだい)、玄海原発4基(計414万キロワット)が今年8月から同時稼働し、供給力がさらに上昇。冷房需要が落ち込む今秋にも出力制御を実施する可能性が高まっていた。【浅川大樹】