【政界地獄耳】野党はもっと質問するべき - 日刊スポーツ(2022年2月19日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202202190000077.html

★憲政史上、これほどさざ波すら立たなかった通常国会があっただろうか。野党は与党に対して大した質問もしない。では問題がなかったのかといえば自民党京都府連を舞台にした買収資金と思われてもおかしくない資金をまるでマネーロンダリングしたかのように扱っていたことが発覚した問題。まして京都選出の国家公安委員長が「問題ない」としてかたづけようとしていることは、先の参院選広島選挙区大型買収事件と酷似しており、大いに質問することがあるはずだ。

★またコロナ禍のワクチン接種に関して岸田内閣は先の内閣の教訓を生かしたとはいえず、ワクチン担当相の要領を得ない答弁も国民を不安にさせるが、野党は問いただしはしない。これほどスムーズなら各党が衆参の議院運営委員会の議題になるまでの本会議の日程、議題や法案などの調整や審議の下準備のために置く国会対策委員会は不要ではないか。議運だけで十分事足りる。そもそも正式な委員会でもない国対だが、国対委員長会談は与野党でのもめ事や重要法案の審議が大詰めになると断続的に開かれたものだが、今はその必要すらない。

★そもそも国対委員長というポストは1955年、自民党結党と共に生まれた。初代委員長は田中角栄内閣で衆院議長を務めた中村梅吉保守合同日本民主党から自民党に参画。激突国会の調整と根回しのために作られたポストだ。その後、国対は国会の舞台回しの裏方として野党をなだめたりすかしたり、時にはカネを積んで野党を黙らせたこともあった。野党から非公式の提案も国対の場で展開されたこともある。そして長年国対が国会運営を仕切るようになっていく。提案型などというシンクタンクの職員のような質問を繰り出す野党に国会を止めたり動かす力はない。来週火曜日には来年度予算案はつつがなく本会議で成立する運びだ。(K)※敬称略