(政界地獄耳) 安倍首相と菅官房長官の間に隙間風が - 日刊スポーツ(2019年11月5日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911050000160.html
http://archive.today/2019.11.05-010901/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911050000160.html

★国会が開かれて1カ月。通った法案はゼロ。先週は閣僚が2人辞任し長く続く安倍一強政権がぐらついた。そこで分かったことを整理しておこう。野党は、院内集会などを頻繁に開き気勢を上げた。閣僚2人の辞任は、いずれも週刊誌の材料だが、立憲民主党と国民民主党統一会派を組んで120人体制で野党の固まりができたことで、声が大きくなった。その意味では立憲国対委員長安住淳の功績は大きい。

★一方、2人の閣僚の辞任は安倍内閣ポスト安倍騒動とみるべきで、官房長官菅義偉の力をそぐ目的があったのだろう。2人のクビと文科相萩生田光一のクビの意味は違う。国会を寝かしていても萩生田のクビは取れないし、萩生田は首相・安倍晋三の側近議員。萩生田を追い込むことは政権を追い込むことと同じ意味になる。そう簡単ではない。安住は今週、国会を正常化させるだろうが、多くの借りをつくった与党国対、ことに前立憲国対委員長辻元清美と同じでどうにでもなるとたかをくくっていた自民党国対委員長森山裕の罪は重い。今後、森山が野党に対して何を譲歩するかで危機感が分かってくる。

自民党議員が言う。「英語試験は野党攻勢というより、自民党支持層のネットでの怒りが大きい。今、自民党が見る世論と野党がみる世論動向は違う。自民党の方がネットの声に的確に反応しているし敏感だ。野党は、いまだに新聞の論調や世論調査を当てにして動くが、そのズレが初動対応の差となる」。今回の一連の騒動で1つ分かったことは首相と官房長官の間に隙間風が吹いていることだ。これは野党というより、自民党内がどう分析してどう仕掛けるかの材料となった。(K)※敬称略