【政界地獄耳】「野党にまた勝たせてもらった」- 日刊スポーツ(2021年11月6日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202111060000076.html

自民党議員たちが永田町に戻り始めた。彼らに今回の選挙の勝因を聞いてみると「総裁選挙がよかった」という答えが多い。「なにより菅政権の末期にはどうなることかと思ったが、総裁選挙の候補者討論会は地元でも評判が良かった。話題にもなったし、党の多様化というか、いろいろな幅を有権者に見せられたのではないか」(自民党若手)。「あの総裁選挙で菅政権の負の部分をリセットできた」(副大臣経験者)と選挙への構えができたのではないかという。

★またあるベテラン議員は「首相・岸田文雄には何も仕事をしていないという分、傷もなかった。野党は安倍・菅政権の失策を攻めたが、岸田は未来選択選挙としたのがよかった。それまでの世論調査では風当たりが強いかと思ったが、コロナの大変さをお互いさまと受け入れてもらえたのかなと感じた」と岸田の未知数の部分が功を奏したのではないかとの見方を示した。そう考えれば1年前、前首相・菅義偉は「仕事をしてから評価してもらいたい」と解散のタイミングをだんだんと失っていったことの教訓が生かされたとみればいいのだろうか。

★「そりゃコロナ禍が落ち着いて間髪を入れずに選挙を断行したことも自民党勝利につながったのではないか。合理的な説明はつかないが、コロナが落ち着いてコロナ後を考えるきっかけになったのはありがたかった」(閣僚経験者)。ベテラン議員は手応えがなかったのは与野党ともに同じというが「最後は自民党の信用がものをいったのではないか。ただ今後は予算審議など厳しい局面に入るし、経済立て直しは国民に直結する。成長戦略と分配の野党との知恵比べになる。気は抜けない。参院勝利までは本格岸田政権にはならない」と戒める。だが、最後には「野党の混乱に国民や組合の人たちも困惑してこちらや維新に票が分散されたのだろう。野党にまた勝たせてもらった部分がある」と耳打ちした。(K)※敬称略