【政界地獄耳】8人の論客が斬る、自民党の失敗 - 日刊スポーツ(2021年12月31日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202112310000122.html

自民党の今年前半はコロナ禍での後手後手の対応に首相・菅義偉の人気は下落し、総裁選直前に自民党内に亀裂が走り、総裁選挙をせずに再選を狙った菅は退陣を余儀なくされた。その後の岸田政権は何もしないまま総選挙に突入したものの、国民は安心したのか再度自民党議席を与えた。これによって断末魔だった自民党の総括ができていないと思っていたら、「自民党失敗の本質」(宝島社新書)が10月に出版されていた。オールインタビューで、8月下旬の取材で多くが菅出馬を前提にしていることが、かえって問題を浮き彫りにしている。

★分析するのは東大先端科学技術研究センターフェロー・御厨貴神戸女学院大学名誉教授・内田樹衆院議員・石破茂衆院議員・村上誠一郎、元文科事務次官前川喜平、元経産官僚・古賀茂明、東京新聞記者・望月衣塑子、衆院議員・小沢一郎(登場順)という8人の論客だ。御厨は安倍政権の「選挙至上主義」が自民党を弱体化させたと論じ、菅政権は「命令権」と「人事権」で官僚機構を操縦できるとし、「説明がない」ことを指摘する。

★また「ドイツやイギリスなど政権交代がある国では、政権を運営している時はしがらみでいろいろな連中に使われていたけれど野党になれば切ってもいいしがらみはどんどん切ることができる。与党ではできなかった政策転換が可能」とする。内田は政治家に「国民に届かせる言葉はあったか」を問い、「言質を取られないこと」が優先されたとみる。「反対者や無党派層を説得して1人でも支持者を増やそうという気概がない」ことを憂う。紙面では紹介しきれないが各論客が「保守の本懐」が崩れていくさまを多角的に指摘している。(K)※敬称略