【政界地獄耳】野党は共闘失敗から学べるか - 日刊スポーツ(2021年11月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202111020000094.html

★各メディアの直前の予測も有権者の行動を読み切れなかった。共同は「自公で過半数割れあり得る」とまで直前に流していた。それほど読み切れない選挙だったのかもしれない。さて有権者はこの選挙に何を求めたのか。体制の変化は望まず、一方、政治とカネに関わる政治家、例えば幹事長・甘利明の選挙区での落選や元首相・安倍晋三は落とせないものの安倍の元政策秘書初村滝一郎は長崎1区で議席には届かなかったことからも厳しい目が光っていたのではないか。

立憲民主党が連合などの反対を押し切る形で推進した野党共闘は結果的に失敗に終わった。例えば元自民党幹事長・石原伸晃など幾人かの大物政治家を追い詰めた成果は散見されるが、立憲は代表代行で選対委員長・平野博文、副代表・辻元清美政調会長代行・川内博史、財務局長・山内康一ら幹部を軒並み落選させたことを考えれば、マイナスの方が大きかったのではないか。全体の議席を減らしたことは執行部の責任問題に広がるだろう。後継は元厚労相長妻昭、前デジタル相・平井卓也を追い込んだ小川淳也らを軸に調整が進むのではないか。

共産党は認めないだろうが、野党共闘の敗因は共産党アレルギーを払拭(ふっしょく)しないまま政権入りに期待を寄せる発言や、甘利らが「民主主義か共産主義か」との選択を示したことに変化を求めぬ有権者が不安を覚えたからではないか。共産はブレないと言いながら野党共闘実現のために多くの犠牲を払ったものの、効果は薄く、共産党自体の得票数も大きく低下した。得た票よりも失った票の方が多かったのではないか。こうなると、立憲は執行部刷新、連合との関係の全面見直し、共産は党綱領や党名を含め、共闘を模索するならば、根底から変わったと知らせる必要があるだろう。次の選挙は来年7月の参院選挙だが、それまでに立て直せるか。(K)※敬称略