【政界地獄耳】杉並区長選の例は有権者が新たな政治のかたちを模索し始めた「芽」 - 日刊スポーツ(2022年6月22日)

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参院選挙がスタートしたが、今世界と日本で起きていることを記しておこう。ウクライナ情勢では欧州全体が打開策を導けず、フランスでは4月25日、右派のルペン党首を追いやりマクロン大統領が再選されたが、19日投開票のフランス国民議会選挙では閣僚3人の落選を含め過半数割れになった。大統領選挙は勝ったものの、政策実現には険しい道のりが待っている。

20日自民党幹事長・茂木敏充は報道各社のインタビューに応じ「(非改選と合わせて)与党で過半数だ」と述べた。その上で「与党で改選議席過半数の獲得も含め、1議席でも多く積み上げたい」とし「参院選後、できるだけ早いタイミングで憲法改正原案の国会提案、発議を目指したい」といい調子で強気の姿勢を見せた。ところが多くの政界関係者は20日に起こった東京杉並区長選挙の結果を複雑に受け止めている。任期満了に伴う東京都杉並区長選は4選を目指した現職の田中良に新人でNGO研究員の岸本聡子(立憲、共産、れいわ、社民など推薦)らが挑んだ。岸本は図らずも野党共闘の形になったが現職に187票差で岸本が勝利した。杉並といえば昨年の衆院選挙で自民党元幹事長・石原伸晃を落選に追い込んだところだ。

★またそれに伴い行われた区議補選では1議席を目指して9人が出馬。自民党が当選したが上位5人までが2万票を獲得。以下の4人も1万票以上を得る大混戦に陥った。「有権者の価値観の多様化、年齢の幅などに伴い政党も増えた。しかし人口は減るので与野党ともにこれからは選挙協力をしないと勝ち抜けない」(自民党関係者)。ところが自民党公明党も昔ほどの蜜月ではなく、野党共闘は崩壊したのが今回の参院選だ。杉並の例は有権者が新たな政治のかたちを模索し始めた「芽」なのかもしれない。(K)※敬称略