【政治地獄耳】自民崩壊と向き合う野党のセンス - 日刊スポーツ(2021年5月17日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202105170000079.html

★「桜を見る会」前夜祭に関する疑惑を巡り前首相・安倍晋三は118回にわたり虚偽答弁をし続けたことが明らかになったが、首相・菅義偉は五輪開催について何を聞かれても「国民の命と健康を守り安全安心な大会が実現できるように全力を尽くす」としか答えない。そろそろ118回を超えるのではないか。2人の首相の人災ともいえるコロナ禍で国民のストレスと怒りは大きくなるばかりだが、では野党はどうなのか。

★5日、共産党委員長・志位和夫は結成40年になる全国革新懇平和・民主・革新の日本をめざす全国の会)で講演した。この革新懇は1980年、社会党公明党が野党から共産党を締め出すことから始まる。共産党を除く野党が出来上がると翌年、共産党革新懇を作り、将来の政治変革の「架け橋」を目指し、憲法原発、沖縄、医療、雇用、暮らしと営業、農業、貧困と格差などの課題で「一点共闘」を模索してきた。野党内には選挙のための野党共闘が叫ばれているが、共産党は40年前からその足場を作ってきたといえる。

★その革新懇で志位は「共産を含めた政権協力の合意が得られるなら、市民と野党の共闘に画期的な新局面が開かれる」とし、立民中心の政権ができた場合には「閣内と閣外のどちらもあり得る」と踏み込んだ。立憲民主党内には共産と共通する政策も多くシンパシーがあるものの、それ以上に自民党のほころびが激しく、崩壊が迫っているとみて保守層の取り込みが急務とする動きがあり、共産との関係がぎくしゃくしているが、それは党代表・枝野幸男の政治センスの問題で政局対応に慣れていない共産は翻弄(ほんろう)された。しかし、ここまで自民党の失速の見極めが甘い、いわば自民党にシンパシーがある国民民主党や連合は共産批判を繰り返すが、それは自民党崩壊の裏返しでもある。ウイングの広い野党勢力の結集と一点共闘の融合点を国民が受け入れるか、それとも今の政権の体たらくを甘んじるかの戦いに次期衆院選の争点が据えられるかの段階に野党は来たのかもしれない。(K)※敬称略