【政界地獄耳】菅内閣の延長か生まれ変わりか - 日刊スポーツ(2021年10月5日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202110050000038.html

菅内閣が総辞職した。既に岸田内閣の党4役などは確定し、組閣人事も新聞辞令で固まった。党人事は幹事長・甘利明国対委員長・高木毅、組織本部長・小渕優子と過去の政治とカネの問題を抱えるワケあり議員を登用。ことに甘利は当選12回で初めての幹事長となれば歴代総裁はなぜ甘利を使ってこなかったか。少し考えればわかることだ。

★前首相・菅義偉は「自助・共助・公助そして絆」という謎のビジョンを掲げたが国民のために働く内閣は名前負けしていた。「分断から協調へ」をうたう今度の内閣はどうか。閣僚の顔ぶれは新顔が多く派手さはない。幾人か思い出作りの入閣もいるが、女性を増やしたと胸を張るほど主要閣僚には起用してもいない。一番心配なのはこれから決まる副大臣政務官も含めて直後の総選挙で仕事もしないうちに落選する者が出てくることだろう。党人事を含め身体検査の甘い内閣という印象はぬぐえない。岸田の最初の試練は24日の参院静岡、山口補欠選挙(東京9区、神奈川3区、広島3区衆院補選は衆院選に吸収)となる。いずれにせよ、この内閣は31日に決まった総選挙投開票後に初めて国会で仕事をすることになる。当初26日に公示とみられていたが、この日は秋篠宮家の長女眞子さまの結婚が予定されている。

★メディアは派閥の分布で岸田が元首相・安倍晋三や副総裁に就任した麻生太郎の言いなりだという。機嫌を取ったのは間違いないが、したたかな人事を行ったといえる。つまり意中の人物が選ばれていない。入閣した派閥の数でみてもわからない。追記すれば3日に投開票があった東京都武蔵野市長選は無所属現職の松下玲子(立憲民主、共産、社民、れいわ支持)が対立候補(自民、公明推薦、東京維新の会推薦)の倍以上の得票で再選された。国民はこの内閣を菅内閣の延長とみるか生まれ変わったとみるか。(K)※敬称略