https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1400407.html
進学や就職、大きな買い物に人間関係。人はさまざまな場面で選択を迫られる。だが「最初から選択肢が存在しなかったら」と考えると恐ろしくなる。映画「モンスター」で主人公アイリーンが「私には選択肢がなかった」と語る場面がある
▼映画の題材は米国であった連続殺人事件。母親に捨てられ祖父に虐待を受けたアイリーンは10代から売春で生活費を稼ぐ。客の男に血まみれになるまで殴られた際、銃で撃ち殺してしまう。7人を殺害して死刑判決を受けたが単純に「殺人犯」と片付けるのも難しい
▼羽田空港のトイレで出産した新生児を殺害、遺体を遺棄したとして24歳の女性に実刑判決が言い渡された。朝日新聞によると公判で弁護側は女性が知的障がいに近い「境界知能」だと主張した
▼親に叱責(しっせき)されて育ち、就職活動で企業に提出するエントリーシートの設問が理解できずに空欄が目立った。就
職を断念すれば親を失望させると考え、妊娠も相談できなかったという
▼9月27日にも茨城県で新生児の遺体を遺棄したとして女子高校生が逮捕されるなど、孤立した女性が子どもを殺害する事件が後を絶たない。新生児の父親は何をしていたのか。家族や社会にできることはなかったのか
▼当事者を裁くだけではなく、私たちが考えねばならない。厳しい境遇にある人にも選択肢を用意できる社会にする方策を。