<金口木舌>連絡をくれて、ありがとう - 琉球新報(2021年2月13日)

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里親に登録して10年ほどになる。里親は、さまざまな事情で実親と暮らせず、保護された子どもたちを家庭的な環境で養育する支援制度。わが家でも子どもたちが過ごしてきた。1日限りから数カ月に及ぶ長期まで、期間や人数は事情によって異なる

▼緊急の場合、打診は突然だ。逆に、ならしの期間を設けた事例もあった。実親の元に帰った子どももいる。本音は、別れはさみしい。でも、「子どもの体重が増えたと実親さんが喜んでいた」と担当職員から聞いた時、うれしかった
▼担当職員が実親に語ったという言葉も心に残る。「私たちに連絡をしてくれて、ありがとう」。これまで一緒に過ごした子どもたちの笑顔を見詰めていると、里親としても同じ気持ちだ
▼痛ましい事件が再び起きた。7日、宮古島市で5歳と3歳の兄弟の命が奪われ、通報した母親が殺人容疑で逮捕された。動機など真相解明に向けた捜査が進んでいる
▼同様の事件は県内でたびたび起きている。新生児の遺体が遺棄された事件もあった。周囲や関係機関、一組の里親として何かできることはなかったのか。悔やまれてならない
▼あなたが苦しんでいたり、家族のことで悩んだりしていることがあるならば、地元自治体や児童相談所、警察などにサインを送ってほしい。支援策はきっとある。連絡をくれて、ありがとう。その言葉を伝えたい。