【政界地獄耳】安倍政治継承じゃ戦えない 自民若手の危機感相当なもの - 日刊スポーツ(2021年9月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202109140000022.html

★案の定とでもいうべきか、想定の範囲内というべきか、自民党総裁選挙は早くもメディアのお祭り騒ぎが収まってきた。なぜならば出馬表明をした前政調会長岸田文雄、コロナ相・河野太郎、前総務相高市早苗のいずれもが安倍政治の継承を宣言し、森友・加計事件の再検証や河井夫妻1億5000万円買収事件や桜を見る会などの真相究明に消極的どころか否定的な対応をしたからだ。新しい政治を作ろうとしながら前政権が怖くて批判も失敗だったともいえない候補者に魅力などない。

世論調査で河野や元幹事長・石破茂に人気があり、支持が広がるのは安倍・菅政治を否定し、新しい自民党を生み出す可能性があったからだが、河野にも期待できないし石破は出馬もままならないという報道が続く。岸田も当初は威勢がよかったが、今ではゼロ回答の先頭を走るし、高市は安倍政治の継承だというなら何をかいわんやだ。これでは候補者3人の政策というより国民には安倍政権時代の疑惑解明が改めて総裁選の争点としてあぶりだされた様相で、総裁選挙と候補者への関心が一挙に薄れたといっていい。政策に政治とカネなどの改革が含まれず、最優先テーマであるコロナ対策も政権を否定できないおかげで現状追認では国民の落胆も大きい。

★そんな中、自民党衆院議員の半数近くを占める3回生までの若手が声を上げた。「党風一新の会」を立ち上げた衆院議員・福田達夫は「派閥の理由でもって物事が決まっていないのか」と疑問を呈した。同会には3回生以下の約7割が参加した。「3回生以下とは安倍チルドレンで楽な選挙しか経験していない。危機感は相当なもの」(自民党選対関係者)。彼らがまとまって誰かを推すというより、派閥の一本化が出来なくなり、候補者が改革に後ろ向きでは選挙で説明ができないとなれば造反レベルではなく、この候補では選挙を戦えないという声に広がりかねない。まして福田の父は元首相・福田康夫。選挙は盤石だ。将来の首相候補が声を上げた意味を軽く見てはいけない。(K)※敬称略