【政界地獄耳】国会より選挙、コロナより選挙 - 日刊スポーツ(2021年6月17日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202106170000091.html

★会期の延長も与党に拒まれ、野党4党の不信任案提出は粛々と否決され、閉会中審査だけはかろうじて野党の要求を与党はのむようだが国会が閉会した。この後は強引に開催するオリンピック・パラリンピックで不測の事態が起きても、コロナ禍やワクチン接種で想定外の事態に陥っても国会はひっそりと開かれることはあっても選挙が終わるまで政治家は国民の負託には応えてくれない。自分の選挙が優先となり、何かの案件を抱えたまま落選でもすれば当落のみならず政策や法案すらそれっきりになることもある。

★16日、立憲民主党参院議員総会で同党代表・枝野幸男は「国会は無念にも延長されないが、閉会してもコロナ対策に全力を挙げる。次の国会の冒頭解散はほぼ確実で、すでに事実上、昨日から選挙戦がスタートした。衆議院は全員で頑張るが、参議院も奮闘を望む」とあいさつした。政界は都議会議員選挙の状況を見極め、都民が何に怒り、悩み、困っているかを知る。それが全国の衆院の選挙区に広がっていくのだ。この間、参院は少々時間の余裕ができるものの、来年改選期を迎える現職や出馬予定の候補者たちは衆院選挙に乗じて選挙運動に突入する。今はコロナ禍で視察などの外遊もない。つまり政界全体が選挙モードに突入してしまう。候補者は地元に入りっぱなしで東京や国会には興味もなくなる。それよりも選挙なのだ。

★与党も同様でたぶん10月までには総選挙も終わり、政治家たち永田町の住人は落ち着きを取り戻す。五輪さえ終われば「コロナ禍でも総選挙は可能なのか」という理屈は国民に通じるかなど選挙モードの議員たちに言っても聞く耳を持たないだろうが、国民にはそのご都合主義が滑稽に見えることも忘れないでいただきたい。(K)※敬称略