https://www.hokkaido-np.co.jp/article/312019
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参院の定数6増に伴い、参院議員の歳費の自主返納を可能にする国会議員歳費法改正案が、参院議院運営委員会で与党と国民民主党の賛成多数で可決された。
きょうにも参院本会議で可決され、今国会で成立する見通しだ。
昨年成立の改正公選法は定数を6増し、政党が比例代表候補の一部で事前に当選順位を決める「特定枠」を設けられるようにした。
1票の格差是正を掲げつつ、内実は合区対象の現職議員を救済したい自民党が、お手盛りの内容を数の力で押し通した。その経過を忘れてはならない。
自主返納は選挙前に世論の批判をかわす小手先の策にすぎまい。
二院制の下で参院はどのように国民の負託に応え、そのためにどんな選挙制度が望ましいのか。本来、格差是正に向けてはそうした根本の問題を考えるべきだ。
その中で国民の理解を得られる定数と歳費の水準についても検討されるべきだが、昨年に続き今回も議論は置き去りにされている。
議運委で可決された与党案は、選挙後から3年間、参院議員1人当たり月7万7千円を目安に国庫に自主返納できるようにした。公選法が禁じる議員の寄付行為の例外と位置付けて
いる。
これにより、今度の参院選で改選議席3増となることに伴う増加経費の2億2800万円を賄う。
しかし返納するかどうかは個々の議員の判断に委ねられ、削減効果自体に疑問が拭えない。
与党案は当初は参院の議員歳費を一律削減する内容だったが、衆参で歳費に差が出ることなどに批判が出ていた。そうした中、与野党協議で国民民主が提案した自主返納方式を、与
党が取り入れた。
国民民主党は定数増には反対としつつも、当初案を取り下げた与党の姿勢を評価し賛成に回った。分かりにくい対応だ。
立憲民主党の案は期限を設けず衆参の歳費を月7万7千円減額、正副議長の歳費や首相、最高裁長官の給与も削減する内容だった。
日本維新の会も議員歳費の2割削減を提案したが、いずれも掘り下げた議論はなされなかった。
改正公選法を審議した昨年の参院政治倫理・選挙制度特別委は付帯決議で、参院の選挙制度改革について憲法の趣旨にのっとり、参院の役割と在り方を踏まえ引き続き検討を行うこ
ととしている。
各党は思惑の違いを超えて改革に取り組みつつ、定数と歳費の議論をすべきだ。参院選ではその姿勢が問われることになるだろう。