<私説・論説室から>不平等はメディアにも - 東京新聞(2021年3月8日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/90165

なぜ日本のメディアは、ジェンダー平等がこんなに遅れているんですか?
この二、三年、取材先から尋ねられることが増えた。
政府が旗を振った「女性活躍」やグローバルの潮流に迫られた経済界は、否が応でも意思決定層に女性を増やした。外圧もないまま、気づけば時代から取り残されていたのが、新聞、テレビなど伝統メディアだ。
新聞・通信社の女性比率(二〇二〇年)は、役員3・8%、管理職8%。世界経済フォーラムジェンダーギャップ指数の項目に「メディア」があったら、きっと「政治」と同等の世界最低レベルだろう。
「輝く女性」を推進する内閣府も、メディアの動きに気をもむ。アジア・太平洋諸国の女性起業家らを招く毎年の交流事業で、一九年度は「女性記者」に狙いを定めた。縁あって参加させてもらったが、他国の記者からもやはり、冒頭のような質問を受けた。
「メディアの影響力は大きい。だからこそメディア業界の意思決定層で女性が活躍することが大事です」。当時、担当大臣としてあいさつした橋本聖子さんの言葉だ。
「国際女性デー」にあわせて、さまざまな部署の記者たちが、日本のジェンダー不平等を伝える記事を書いている。そこには「メディア自身も変わらなければ」という思いも込められている。 (小嶋麻友美