(政界地獄耳) 飲食のせいにする政策自体見直すべき - 日刊スポーツ(2021年1月8日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202101080000078.html

★改めて聞きたい。本当に飲食店が悪いのか。国会議員は特例で4人までなら会食していいとか、社会や国民に要請してきたルールも守れないのに、一般の国民は5人以上の飲食ダメ、20時以降の酒販もダメ。これでコロナは撲滅できるのか。政府はやっと重い腰を上げ2月上旬の成立を目指す新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案では緊急事態宣言下の休業を巡り、都道府県知事が現行の「指示」よりも法的拘束力のある「命令」を事業者に出せるように改正し、従わない場合は50万円以下の過料とするなど骨子が見えてきた。

★思えば以前は、やむにやまれず営業を続けたパチンコ店がやり玉にあがり、営業を続けている地方都市まで車を駆って打ちに行くニュースが盛んに流れたが、業界は店の安全衛生管理に理解を求め、今では規制の対象にもなっていない。なぜ飲食なのか。つまりは人が複数で会食やそこに酒が入れば、コロナ禍であることを忘れ談論風発、口角飛沫(ひまつ)が感染リスクを高めるということだろう。だがそれは客の問題で飲食店の責任ではない。

★法案に対して刑事罰の必要と説く自民や国民民主に対して立憲民主党、共産、社民などは「なじまない」と否定的だ。そもそも安全対策とやらは手洗い、マスク、検温程度しかない我が国のコロナ対策で、コロナ禍で死亡した立憲参院幹事長・羽田雄一郎は亡くなる日の朝の体温は36・1度だった。もう検温は安全対策の根拠にならない。それならば台湾などが実践し効果のあった、まずはその場でわかる過去に感染したことがあるか、現在の感染は初期なのか否か、コロナウイルスに抵抗する抗体をすでに獲得しているのかを調べる抗体検査、ウイルスに感染した細胞が特異的に産生する抗原を検知して診断する抗原検査をまず行い、その中から検査しうることを探しPCR検査を受けさせる手順を踏むべきだ。我が国はいまだPCR検査を自由に受けにくい環境にあることを飲食のせいにする政策自体を根底から見直すべきではないか。(K)※敬称略