(政界地獄耳) 問われるのは5月6日以降の戦略だ - 日刊スポーツ(2020年4月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202004240000038.html

★官邸のそれと違い、先手先手で明確に「命を守る行動」を訴えた都知事小池百合子の評価が高い。首相・安倍晋三が国民へのポエムのようなメッセージから記者の質問にまでプロンプターの原稿を読んで答えるリーダーシップの欠如を憂いていると、小池はすぐさま付箋がたくさんついた資料を抱えて会見に臨み、ありとあらゆる都民、いや国民に“指令”を出す。そこに選挙を目前に控えた選挙モードの顔がちらつくことも承知で小池百合子ここにありを強くアピールしている。

★首相とのコロナ対策の差は歴然としても、4年前、小池は自民党に進退伺を出して自民党と決別して都知事選に出馬。自民党をやり込めてここまできたが、希望の党で調子に乗り野党を分断した後遺症は根強く、野党はいまだにバラバラのままだ。この仕掛けやメッセージ性は強いが特別、大したことをしていない、首相ができないところをさっと拾って器用にこなすところが、小池らしさというべきか。そこが評価されているとすれば、小池の評価も大したことではない。

PCR検査を抑えて来た東京都は新型コロナウイルス感染症法の指定感染症のため、陽性になれば重症者、軽症者、無症者関係なく入院隔離となる。当然、ベッドは足りなくなりホテルに軽症者を隔離した。ところがこの対策では市中感染は防げない。東京はこの感染経路不明の市中感染が大きくなっている。中国など海外ではここで都市封鎖(ロックダウン)に転じるわけだが、小池も3月下旬の会見では都市封鎖の可能性を強く示唆していたが、官邸や厚労省、専門家委員会、治安当局や物流当局からの強い反発を受けたか、それをせず経済的余力を残しながら収束を待つ政府手法に準じた。つまり、小池独自の戦略はなく、今風に言えば首相と違う「いいかた」と休業補償で差をつけたといえる。だが、今はそちらの方が政治的決断効果は大きく、小池は小池らしさを保ったといえる。問われるのは5月6日以降の戦略だ。(K)※敬称略