[コロナ緊急事態宣言]丁寧な説明が不可欠だ - 沖縄タイムス(2020年4月8日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/557454
http://archive.today/2020.04.08-005946/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/557454

安倍晋三首相は7日、改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づき緊急事態を宣言、新型コロナウイルス感染拡大は重大な局面に入った。
同法による緊急宣言の発令は初めてで、私権制限を伴う措置が可能になる。対象地域の東京や神奈川、大阪など7都府県の知事は、外出の自粛要請、興行施設の利用制限の要請・指示、臨時医療施設の開設に必要な土地使用などの私権制限を伴う措置が可能となった。だが海外のように外出の禁止はしていない。
政府機関や大企業などが集中する東京をはじめ都市部を中心に感染者の増加に歯止めがかからない。感染経路が不明なケースも増え、爆発的な患者急増(オーバーシュート)が現実のものとして迫っている。宣言は、感染爆発を防ぎ、病床や人工呼吸器、医療従事者の不足などで重症者を受け入れることができない「医療崩壊」を回避することが狙いだ。
安倍首相は宣言後の会見で「最も重要なことは何よりも国民の皆さんの行動変容だ」と述べ、人と人との接触機会を7~8割を減らすよう訴えた。7~8割減で「2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と強調した。
だが、国民の行動を制限する宣言だけに理解と協力を得るには、適切な情報の公開と丁寧な説明を繰り返すことが不可欠だ。
特措法では「国民の自由と権利の制限は、必要最小限にとどめる」と定めている。憲法で保障される権利の制限は慎重にも慎重を期さなければならない。強制措置のチェックや検証のため、公文書での記録、保存が必要だ。

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沖縄県でも、まったく油断はできない。県内で7日、新たに12人が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになった。前日に感染が確認された6人から倍増、感染者が急増している。
玉城デニー知事は対策本部会議で、「沖縄県は感染確認地域から感染拡大警戒地域に移行している可能性がある」との認識を示した。その上で、県民に対し10人以上の集会やイベントを避けること、家族以外の多人数での会食をしないよう呼び掛けた。
感染者急増で、受け入れる病床や医療従事者が不足する可能性がある。軽症者や症状がない人が滞在する宿泊施設の確保、リタイアした医療従事者らへの協力要請が急務だ。

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政府は事業規模で108兆円と過去最大の緊急経済対策と、その費用を賄う2020年度補正予算案を決定した。コロナ禍による未曽有の経済危機に対応するためだ。
コロナウイルス感染拡大による観光客の減少など、県内経済は停滞・縮小し、観光や小売り、飲食業などの打撃は大きい。国の経済対策を踏まえながら、県は地域の経済状況を考慮した独自の支援策を打ち出すべきだ。
経済支援も長期の持久戦になるだろう。一度の経済政策では済まない。宣言に伴う事業者の損失補償など実態に合わせたきめ細かい施策を検討してもらいたい。