(政界地獄耳) 選挙前の政治家は困っている人探し - 日刊スポーツ(2020年10月28日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202010280000094.html

★今月6日、公明党政調会長・竹内譲らは官房長官加藤勝信文科相萩生田光一など閣僚を相次いで訪問。大学入学共通テストの受験料となる2万円を「頑張ろう応援金」として支給する受験生支援給付金(仮称)の創設、280億円の予算措置を求めた。大学受験・就職に挑む高校生115万人、高校を既に卒業して受験に挑む浪人生11万人の126万人が対象となる。

★竹内は「財源は今年度予算の予備費の活用を想定している。コロナ禍で制約を受けている若者に希望を持ってもらうためにも政府に対応してもらいたい」とした。面会に応じた官房長官は「実施に向けて文科省と協議して条件整備を整えたい」と前向きに対応したという。これからの1年間はどんな政策を繰り出しても選挙用のばらまきと受け取られかねない。来年は衆院選のみならず東京都議会選挙も控える。コロナ禍で今後も国民には物入りの日々が続くし、生活自体が倒産危機や雇用不安の中にある。ことに学生は家計収入の減少や、臨時休校に伴う学業の遅れなどで、厳しい環境に置かれているという。多くの国民がそういう支援は助かると思える施策が求められるが、与党からの学生への措置は期待と非現実的との悲観が交差する政策だったといえる。

★27日、公明党代表山口那津男は会見で「給付の対象や方法、いろいろ課題があることから取り下げる」と提案を取り下げたと説明した。13日に開かれた自民党教育再生調査会では就職していない既卒者のうち、受験に臨まない場合は支給の対象外になることなど公平性や目的や手続きが不明確、所得制限を設けるべきとの声も出たという。また公明党の提案で既に一律10万円を給付しているほか、低所得世帯には4月から給付型奨学金や授業料免除の制度が始まっている。ただ自民党内の議論も公平性の担保ばかりで現実をどの程度把握しているのか。選挙前の政治家は困っている人探しに奔走する。(K)※敬称略