(政界地獄耳)「世帯とは」の議論でつまずく政府 - 日刊スポーツ(2020年4月16日)

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自民党幹事長・二階俊博公明党代表山口那津男らが相次いで国民に一律10万円を支払うべきと指摘するも官邸は嫌がっている。14日、官房長官菅義偉は世帯あたり30万円の現金給付について政府は給付要件を世帯主の月収としているが「実際には世帯主以外が生計を支えている家庭もある。事情を踏まえた対応が可能になるように検討する」と述べた。

★同日の衆院総務委員会では、国民民主党・屋良朝博が「世帯とは」との問いに「生計の主たる者が世帯主になって形成されるもの」と官僚は答えたが、屋良はツイッターに「家庭の中に爺ちゃんも婆ちゃんも、父ちゃんも、母ちゃんも、息子、娘もそれぞれ稼いでいて、それぞれで生計を維持していれば、1つの家庭に6つも世帯があるという解釈になる。1つの家庭に世帯がいくつあってもいいということなのだが、政府が30万円を支給する対象はいったいどこですか」と記し、明確な答弁はなかったと指摘した。

★屋良は続ける。「諸外国と同じく成人1人とか、国民1人に一律いくら支給しますと決めればいいのじゃないでしょうか。消費税は有無を言わさず一律に赤ちゃんの粉ミルクからも10%取るのにね」とし「忘れてはならない議論があります。困窮世帯の中には、世帯を形成していない人たちがたくさんいるということです。例えばDV被害者らが、役所に行って住民登録すれば世帯主になれるけど、それができない事情がある。そんな困窮世帯を安倍政権はどこまで配慮できているか、ということを厳しく見ていく必要があります」。沖縄選出議員らしい良い質問だが、図らずも世帯とは何かの問いは政府や行政ではくくれない家族のかたちを問うものになった。夫婦別姓問題や少子化問題などの机上の議論は盛んだが、このご時世に政府は根幹の議論でつまずいた。(K)※敬称略