(政界地獄耳) 解散の算段へ、麻生走り回る - 日刊スポーツ(2020年7月16日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202007160000117.html

★今日16日、自民党麻生派がパーティーを開く。このところ副総理兼財務相麻生太郎の動きがあわただしい。15日には、09年に民主党へ政権を明け渡すことになった麻生内閣の同窓会が開かれた。政権発足は08年9月。すでに他界した総務相鳩山邦夫財務相中川昭一与謝野馨官房副長官鴻池祥肇ら党内の重鎮、論客が閣内にひしめいていたことがわかる。

★内閣の色合いは当初から選挙管理内閣と党内でも揶揄(やゆ)され、解散をいつするのかが問われていた。人気はあったものの、首相が漢字が読めないとか、独特の麻生節が物議を醸し、その対応に追われた官房長官河村建夫の苦しい言い訳が野党や世間に同情されるような不安定なものだった。ただ干支(えと)がひと回りした今、自民党の人材の豊富さに思いをはせ、今後の自民党に暗たんたる思いになった人も多いはずだ。

★その麻生が今、首相・安倍晋三に代わり9月末の解散・総選挙の算段をつけようと党内を走り回っている。確かに誰が見ても野党の体たらくや、解散風が吹いてもまとまることができなければ、与党は解散を打っても返り血は少ないと考える。「当初は60~80議席は減らすという声もあったが、野党の現状見れば30~40程度の議席減で乗り越えられる。公明党は解散に反対しているが、最後はついてくる。公明党が選挙後に苦しむのは自民党議席を減らした分、野党でなく維新が議席増になるからだろう。そこで自公維の連立が模索される時だ」(自民党ベテラン議員)。勢いで乗り切るという腹だろうが「そのころのコロナ禍の状況、何よりも倒産と失業の数字が、自民党のコロナ対策の失敗の結果と国民がわかっているだけに中堅以下の自民党現職は選挙を嫌がっている」(自民党閣僚経験者)。問題は勝負をかけて中途半端に政権が延命することだ。この安倍政治が続くことがベストの選択かどうか、自民党内にもう1つ知恵が足りない。(K)※敬称略