(政界地獄耳) 何のための「10万円」 説明ないのか - 日刊スポーツ(2020年4月23日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202004230000025.html

★国民への一律10万給付について、国会議員がもめている。内閣は首相・安倍晋三が「閣僚は申請しない方針」とし閣僚、副大臣政務官などが給付を自粛するなどという表現を使い辞退を申し合わせた。20日の会見で官房長官菅義偉は「常識的にはしないと思う」と答えた。さて何の常識なのか。政界の常識なのか、国民に対して閣僚だからか、それとも国会議員だからなのか。

★その国会議員だが自民党は受け取らない方向。公明党は「それぞれの判断」とした。国民民主党玉木雄一郎は「(国会議員が)受け取らないことで、本来受け取らなければならない人たちの心理的ハードルを上げるべきではない」とし、自らは「受け取って骨髄バンクに寄付する」と説明。日本維新の会は国会議員や地方議員、首長も含めて受け取り、全員分を党に集約した上で寄付するとした。共産党は「辞退」。「国会議員は国民の代表だから受け取るのが当然」「国会議員は歳費などを返上すべき」「もらうべきではない」と国民の声もさまざまなようだ。

★だが、この議論の根本は、この10万円は何のための政府からの金なのかを政府が説明しないため、10万円の色合いが分からないので国民がさまざまな解釈をしていることではないか。この10万円は政府からの「貯蓄用の小遣い」なのか、「自ら支払った税金の還付」なのか「生活の足しにしろ」という緊急給付なのか。それとも「景気活性化のためにすぐ使え」という色彩のものなのか。政府は冒頭に「これだけでは足りないかもしれないが、いろいろ物入りだろうから、政府からのお見舞金としてお渡ししたい」と目的をはっきりと説明すべきだったのではないか。下らぬ議論が多すぎる。(K)※敬称略